なぜ、いま、ヴィンテージウォッチなのか?以前から女性雑誌で見かけてきた「VINTAGE WATCH」。ちょっとマニア向けと思いきや、時代とともに “おしゃれファッションアイテム” として、まさにいま確立されつつあるようです。ここではヴィンテージウォッチの魅力をおさらいして、「おすすめヴィンテージウォッチ3選」のご紹介と、そして心配な取り扱い方をご案内します。
一本一本がその使われ方や保管状況などによって同じものがない。経年の仕方、歴史によってその価値が変わるヴィンテージウォッチ。二度と出会えない、人生で一期一会のまさしく伴侶と出会うようなもの。よいアイテムに巡り合えた時はたまらない喜びがある。細部にまでこだわり抜いたハンドメイドな機械。コレクションアイテムとして大人のたしなみとして一本は持っていたい。
レディース ヴィンテージウォッチの魅力
ジュエリーにもまさる腕元のファッションとして
実はリストウォッチ(腕時計)の原点は、女性が身に着けるブレスレットに、懐中時計のケースを取り付けたのが始まりだといわれています。18世紀後半から19世紀にかけては宝飾品としての意味合いが多かったようです。そして20世紀、当時のパリやロンドンの貴婦人たちが夜会のために、名だたる時計メーカーに「ジュエリーウォッチ」を作らせ、ドレスとともに身に着けることが「ステータス」となっていました。「カクテルウォッチ」や「イヴニングウォッチ」「ドレスウォッチ」という呼び方がまだ、各時計メーカー息づいているのも納得です。
①永遠の美しさ
レディースウォッチは、オーダーメイドされていた時代から大量生産に移ってからも、女性を引き立てる役割は変わりませんでした。ヴィンテージウォッチの魅力は、その華奢でドレッシーな姿にあります。腕にしてみた時の、「何年もともにしてきたような、なじみの良さ」は本当に不思議です。花を見て誰もが美しいと感じるように、ヴィンテージウォッチを見て、誰もが美しいと感じてしまいます。現代のデザインからしてみれば、地味でクラシックかもしれない、でも、上品でエレガント、そしてときに大胆な、飽きのこないバリエーションがなんとも魅力的です。
②個性との出会い
ヴィンテージウォッチは一期一会の出会いと言われます。限られたショップでの取り扱い、ヴィンテージだけに、ひとと被らないデザイン、そして大げさに言うと、ひとつとして同じ状態のものはありません。そこに、私たちは出会いを感じとってしまうのかもしれません。永い時を経て灼けたダイヤル、レトロなアラビア数字、特徴的な針の形状など、その時計にしかない「時を重ねて得た顔」を感じ取って好きになってしまいます。人に個性があるように、ヴィンテージウォッチにもどうやら個性があるようです。トキメキこそが、選ぶ際のポイントです。
③付き合い方
リューズを巻いて動く「手巻き式」や、毎日使うと動き続ける「自動巻き」、「クォーツ」にしても電池を換えてはじめて動き出します。ヴィンテージウォッチは、放っておくと止まってしまう、かわいい子です。朝、腕につける前に、手巻き式だと「ゼンマイ」をくるくると巻きあげる。家を出る前の儀式なようなものです。今日のコーディネイトを整えて、お気に入りのヴィンテージウォッチで大人女性らしい可憐な手元を演出する。お出かけの仕上げです。
ウォッチコーディネーターおススメのヴィンテージウォッチ3選
①ヴィンテージ カルティエ【マストタンク】レディース
1917年、ルイ カルティエ によって誕生した「タンク」。実は「Tank=戦車」から発想を得たといわれています。クローラ(カタピラ)のひとつのコマのような、レクタンギュラーケースがその特徴です。その中でも「MUST マスト」がつくタンクは、1972年にフランスのトップジュエラーである「カルティエ」が作った、新しいブランドコンセプト「Les Must de Cartier レ マスト ドゥ カルティエ」に名を連ねた腕時計です。香水やバック、アクセサリー、万年筆など、「MUST マスト」を冠したアイテムは、今日に至るまで世界の女性の憧れです。
発表された時から「マストタンク」は、ファッションアイコンとして運命づけられていたのかもしれません。今でも感度の高いファッション業界の方やお洒落な芸能界の方々が、この廃盤(2004年頃)となっている「マストタンク」を身に着けているのもうなずけます。ちなみにダイアナ元妃や、ジャクリーン ケネディ オナシスも好んで「タンク」を着けていました。この調和のとれたデザインは、フォーマルからビジネス、プライベートまであらゆるシーンで活躍してくれます。シーンによってはベルトの色を変えてお使いいただくのも楽しいかと思います。
ダイアル(文字盤)はベーシックな「アイボリー」や大人な「ブラック」、洗練された放射線状のローマ数宇や、なかにはアラビア数字、菱形のインデックスのものまでバリエーション豊富ですが、どのデザインにも「タンク」というブランドコードを崩さない確固たる志向が垣間見れます。リューズにはジュエラーのカルティエらしく、カボションのスピネルが使われ、エレガントさを更に引き立てています。特徴的なケースと、ベゼルの側面や裏蓋を留めているスクリューの、タフな意匠とのバランスが絶妙です。
1917年、ルイ・カルティエによって誕生した「タンク」。実は「Tank=戦車」から発想を得たといわれています。クローラ(カタピラ)のひとつのコマのようなレクタンギュラーケースがその特徴です。「マストタンク」は、1972年にフランスのトップジュエラーである「カルティエ」が作った、新しいブランドコンセプト「Les Must de Cartier レ マスト ドゥ カルティエ」に名を連ねた腕時計です。
②ヴィンテージ オメガ【デヴィル】レディース
誰もが知る、知名度No.1の世界的な時計メーカー「オメガ」。オメガの名を冠した時計が登場するのは、実に約120年前の1894年のこと。ギリシャ文字の最後の文字「Ω」が語るのは、「究極の、最高の」時計という意。1936年には、イギリスのキュー天文台でおこなわれた精度試験で世界記録を樹立、いまでもその記録は破られていないほどです。以降伝説の名機となる「スピードマスター」や「シーマスター」「レールマスター」などを次々に発表します。そして、月面着陸のアポロ計画でアームストロング船長が腕にしていたのも、「オメガ」の腕時計でした。
「De Ville デヴィル」は1967年に登場します。「ville ヴィル」とはフランス語で「街」という意味。名前からも都会的でシンプル、そしてドレッシーなイメージが伝わりますが、当時すでに性能が裏付けられていたオメガの腕時計に、「洗練さ」が加わったことで大いに注目を浴びました。自身の価値を求めていた時代の、これぞレディースウォッチの「基本」と思わせるほどシンプルで格調高いデヴィルは、袖口からさりげなく、大人女性の「きちんと感」が表せます。ドレスウォッチとして、フォーマルでも、ビジネスでも、普段使いでも活躍してくれます。
ギリシャ文字の最後の文字「Ω」が語るのは、「究極の、最高の」時計という意。今やオメガのアイコンとなった「Seamaster シーマスター」や、繊細な仕上げと都会的なセンスが加わった「De Ville デヴィル」、緻密な自動巻きキャリパーにエレガントなデザインが融合した「Ladymatique レディーマティック」、などを取り揃えています。
③ヴィンテージ ロレックス【プレシジョン】レディース
1905年にロンドンで創業した時計商 ハンス ウィルスドルフ が、スイスに拠点を移し、1908年に「Rolex ロレックス」の商標を登録したのが、かの有名な実用時計の最高峰、「ロレックス」ブランドの始まりです。ロレックスには、数々の腕時計に関する技術的革新と、英仏海峡やエベレスト、砂漠の真んなかで、冒険的な数々の伝説を生んできました。王冠のマークとともに、当時の常識を打ち破る数々の栄光のストーリー。ウインブルドンや全仏オープンなどテニスの四大大会、F1などのオフィシャルタイムキーパーを担っていることでも知られています。
プレシジョンは、1950年代からリリースされたロレックスの手巻きレディースウォッチ。「PRECISION プレシジョン」とは「精密」の意。精巧な機械を追求してきたロレックスの誇りがこの名前にも表れています。50年代といえば、アメリカンスタイルや映画が全盛で、クリスチャン ディオール を代表とする、個性的なファッションの時代でした。抑圧されてきた時代から解放され、オシャレで遊び心のあるコーディネイトを開花させていました。エレガントさと堅牢さを併せもつプレシジョン。バリエーションも豊かでファッションアイテムとして人気です。
ロレックスには、数々の腕時計に関する技術的革新と、英仏海峡やエベレスト、砂漠の真んなかで、冒険的な数々の伝説を生んできました。1910年代のクラシックなレディースヴィンテージロレックスから、エレガントさと堅牢さを併せもつ「Precision プレシジョン」など、ファッションアイテムとして活躍してくれるヴィンテージロレックスをご用意しています。
ヴィンテージウォッチの扱い方
①防水機能は期待しない
さすがに時代物です。きっちりメンテナンスを終えた時計でも、水は大敵です。水滴がかかってしまった場合にはすぐに拭き取り、万が一水没してしまったら、信頼するヴィンテージウォッチ取り扱い店へお持ちください。
②ぶつけない、落とさない
衝撃に強くありません。小さなケースの中には精密な歯車や特殊な機構がぎっちり詰まっています。間違って落としてしまって動かなくなった場合は、信頼するヴィンテージウォッチ取扱店へお持ちください。
③正確さを期待しすぎない
耳を近づけると時計の動く音が微かに聞こえます。数十個の微小なパーツが重なり合い動く時計です。携帯の時計のように時間が常に狂わないものではありません。1日に数十秒前後はどうしてもずれてしまいます。使用する日の朝、ゼンマイを巻く際に合わせてあげてください。何十分も遅れたり、進んだりするようでしたらパーツの破損や磁石の影響を受ける磁気帯び等が考えられます。信頼するヴィンテージウォッチ取扱店へお持ちください。
まとめ
いつの時代もファッション(装い)とともにあったレディースウォッチ。スポーティーでファンシーな腕時計が増えているなかで、自分らしさを表現するアイテムとして、ヴィンテージウォッチの存在感が増しているように思います。大人女性の身近なお洒落を叶えてくれるレディースヴィンテージウォッチに、今後とも注目です。