今回は、英国で直接買い付けしている、パイントグラスについてご紹介します。
当社では年に数度、英国やヨーロッパ各国で商品を確認しながらの買い付けを行っています。アンティーク家具はもちろん、ヴィンテージや雑貨、ポスター等、色々なアイテムをセレクトしています。その中で、毎回という程、買い付けを行っているのがこちらのパイントグラスです。毎年、熱い季節には入荷を待ち望んでいたお客様からのご要望をいただいていております。いつもありがとうございます!
日本でもパブ形式のお店が増えてきましたが、本場英国パブの文化に憧れる方も多いのではないでしょうか。そんな憧れのパブ文化を表現するのが、今回ご紹介するパイントグラスです。グラス自体はアンティークではなく、英国で取り扱われている新品を販売しています。なぜ英国パブではパイントグラスが使われているのか、パブ文化をご紹介しながらパイントグラスの魅力をご紹介してきます。
伝統的な王冠マーク刻印のパイントグラスは、デザインだけでなくスタッキング可能な使い勝手のよさも魅力です。アンティーク家具にかこまれてパイントグラスで飲むビールはいつもと違った味わいがたのしめるかも!?
伝統の王冠マークが生まれたワケ
パイントグラスには、王冠マークがワンポイントで刻印されています。可愛らしい王冠のシルエットが、英国らしくて可愛いですよね。でも、こちらの王冠マークはただ単に可愛らしいデザイン要素として刻印されているワケではないんです。英国パブ文化を象徴する、とても重要なマークなんです。
1600年末の英国では、パブごとに使用されているグラスが異なっていました。グラスが異なることで、提供されるビールの量をごまかす不正が横行して社会問題になっていたんです。その社会問題を解決する為に考え出されたのが、伝統の王冠マークです。パイントグラスは、1パイント(568ml)を注いだ時に、王冠マークまで注がれるように厳密に設計されています。当時の英国では、ビールの注文単位が1パイントの場合が多くみられ、1パイントがきちんと計れるグラスがあれば、ビールの量を不正することが不可能になるのでは、と考えたのですね。
このようなルールは1699年に法律として制定され、注がれる量が多くても少なくても法に触れてしまうそうです。分かりずらいかもしれませんが、上の画像のように王冠マークの上までビールが注がれるイメージです。今回はちょっと注ぎすぎたので怒られるかもしれません(汗)。
王冠マーク1つから、ビールの量にこんなに真剣になる英国の風習を知ることができるんですね。生まれた理由はどうあれ、王冠マークが生まれて300年以上が過ぎて、伝統デザインとしてパブ文化を象徴するものとなりました。
ビールの量が違うことが社会問題になるというのが英国らしいですよね。英国におけるパブは、お酒を飲む役割以上の認識で捉えられています。公共の場として使われる、パブリックスペースの語源ともなったパブには、言葉通りに公共の場として大きな役割があります。現在でも、英国国内のどんな街にもパブが存在します。
大人の社交場として、生活に切り離せない場と認識されているのですね。ビールやカードゲームを楽しむだけでなく、日頃のコミュニケーションの空間としても活躍していました。昔の日本では、井戸が似た空間性を持っているのではないでしょうか。井戸端会議という言葉が表すように、リラックスした公共の場として、人々に愛された場がパブなんですね。このような文化から、パブで提供されるビールの量がどれだけ重要なのかを推し量れますよね。ビールの提供量だからと言って、笑って済ませられるものではなかったんですね。
無くなりつつある王冠マークのパイントグラス
伝統デザインとして愛されてきた王冠マークも、現在は貴重なものとなっています。英国のEU加盟によって、ヨーロッパ共通のマーク(CEマーク)が刻印されることが多くなってきているからです。長く愛されてきた王冠マークも、グローバル化の波からは逃れられないようです。英国議会では、愛すべき王冠マークとCEマークの双方を使用するようにという運動も行われているようです。ビールグラスに議会が動くのも、パブ文化が守られている証なのでしょうね。
生産される量が少なくなったとはいえ、伝統の王冠マークが刻印されたパイントグラスは現在でも作られています。当社では、徐々に貴重になりつつある長年愛されてきたデザインのパイントグラスをご紹介しています。日本では表示に関連する法律はありませんので、伝統の王冠マークが気軽に楽しめますね!
私も自宅でビールを飲む場合は、今回ご紹介しているパイントグラスを使っています。王冠マークまで注いだビールを眺めていると、当時の英国紳士がビールの量について議論している姿を想像します。ビールの量に対して法律を決めてしまうという、英国のパブ文化を愛おしく感じてしまうんです。
伝統的な王冠マーク刻印の英国ハーフパイントグラス /284mlはこちら。グラスの質を保証する王冠マーク付きのハーフパイントグラスがイギリスより届きました。 膨らみの付いた円錐グラスの形状が特徴的でとっても持ちやすく、普段使いのグラスとしてとても重宝します。 また、いくつも重ねることができるスタッキングタイプな…
伝統的な王冠マーク刻印の英国パイントグラス /568mlはこちら。グラスの質を保証する王冠マーク付きのパイントグラスがイギリスより届きました。 膨らみの付いた円錐グラスの形状が特徴的でとっても持ちやすく、普段使いのグラスとしてとても重宝します。 また、いくつも重ねることができるスタッキングタイプなので便…
パイントグラスと相性のいいアンティーク家具
今回は、英国の社交の場でもあるパブについてご紹介してきました。パイントグラス同様、パブで伝統的に使われていた家具があります。英国紳士がビールやカードゲームを楽しんだパブで使われた家具は、現在ではアンティークとして大事に受け継がれています。当社でも英国で買い付けたパブアイテムを多くご紹介しておりますが、その中からパブテーブルとベントウッドチェアをご紹介します。
パブテーブルは、その名前からもわかる通り、当時の英国パブで愛されているデザインのテーブルです。アンティーク家具としては珍しいコンパクトなサイズが特徴です。映画の中のワンシーンで、パブの中にディスプレイされていることも多いですよね。面積の限られたパブの中に、多くのお客様がテーブルを使用する為にコンパクトな天板で設計されています。こちらのパブテーブルは、世界三大銘木の1つ、オーク材で作られており、アンティークらしい美しい木目が魅力的です。
床と設置する足部分がコンパクトなのも、お客様の足がぶつからないように考えられています。
足部分と天板部分のバランスが崩れないように考えつくされたシルエットは、機能美が凝縮された高いデザイン性を持っています。当時の英国パブでは、パイントグラス片手にカードゲームが楽しまれていたんでしょうね。日本ではサイドテーブルとして使われることもある、使い勝手の良いアンティーク家具です。
オーク パブテーブルはこちら。《購入前に読んでおきたいトピックス》『アンティーク家具を買う前に知っておきたい10のチェックポイント!』編カテゴリーに移動するアンティーク家具 「カフェ/ビストロテーブル」の一覧…
パブテーブルにはベントウッドチェアの組み合わせをオススメ
ベントウッドチェアもパブ文化がデザインを作ったといえるアンティーク家具です。曲木を用いられたベントウッドチェアのデザインは、木の特質をデザインに落とし込んだ名作として親しまれています。曲げに強いという木材の特性を活かした背もたれ部分は、使用している木材の量が少なくても耐久性が高いという特徴があります。使用している木材が少ない為、軽くて低コストというメリットもあります。
軽くて運びやすい、スタッキングしても壊れないという要素から、パブでも盛んに取り入れられました。パブテーブルとベントウッドチェアは、パブだけでなくカフェやビストロといった公共の場で多く使われています。日本でもカフェやブリティッシュスタイルのパブで用いられていますよね。曲木の細い部材で人間の体重を支え、デザインとしても優れているという、とても人気のあるチェアです。
ベントウッドチェアは、座面の繊細なエンボスも魅力の1つですよね。こちらのエンボスは、生産された時代や国、地域によって多種多様なデザインが楽しめます。ベントウッドチェアは世界大戦後のヨーロッパで、ミヒャエル・トーネットが一般化させました。世界大戦後、間もない社会事情によって、家具は低コストのモノが求められていました。使用する木材を少なくしてコストを抑える替わりに、職人の技を表現する為に座面のエンボスが生まれたと言われています。
工場や職人ごとの技術を競うように、さまざまな繊細なデザインが生み出されました。好みの座面を見つけたり、メーカーを辿ってみたりと、ベントウッドチェアを楽しむ要素として気にしてみるのもオススメです。
おうち時間でパイントグラスを楽しむ
英国パブで親しまれてきた家具には、使いやすいという明確な理由があります。パブテーブルとベントウッドチェアにも多くのメリットがあり、現代家具に比べても劣らない使いやすさを備えています。パブリックスペースという役割から、どんな人でも使いやすいデザインや機能が考えられてきたのですね。これらの家具は、その使いやすさから、ご自宅でも取り入れやすい家具と言えます。
パブで英国紳士がリラックスした時間を過ごしたように、ご自宅でリラックスした時間が楽しめる家具としてオススメです。パイントグラスでビールを楽しむ時間に、英国パブで愛されてきたコーディネートを楽しんでみてはいかがですか。
今回の記事では、パイントグラスに関係する英国パブ文化やアンティーク家具をご紹介しました。コロナ禍が騒がれる昨今、ご自宅でお酒や食事を楽しむことが多くなっている方も多いのではないでしょうか。伝統の王冠マークパイントグラスでビールを味わい、英国パブで親しまれてきたアンティークコーディネートを楽しむ。グラスや家具で英国パブを再現して、おうち時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介したアイテムはこちらから
伝統的な王冠マーク刻印のパイントグラスは、デザインだけでなくスタッキング可能な使い勝手のよさも魅力です。アンティーク家具にかこまれてパイントグラスで飲むビールはいつもと違った味わいがたのしめるかも!?
アンティークチェアは何世紀にも渡って改良され、時代や地域を反映したデザインとなっています。人生の 3 分の 1 は座っていると言われています。だからこそこだわって選びたい。「理想的な椅子」が必ず見つかるかもしれません。