今回は、英国アンティーク陶器の中でも人気の高いスージー・クーパー(Susie Cooper)をご紹介します。
陶器、テーブルウェアの世界はとても奥深く、ちょっとわかりにくいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
スージー・クーパーが人気な理由や、お手入れ方法など、この機会にアンティーク陶器が少し身近になればと思います。
アンティークのキャビネットやサイドボードに飾ったり、特別な日のもてなしで使ったりと、家具にはない楽しみ方もアンティーク陶器の魅力です。英国で長年愛され続けてきた魅力的なデザインを取り入れて、家具とは違ったアンティークを楽しんでみて下さい。
スージー・クーパーをはじめ、生活を彩るアンティークのテーブルウェアを数多くご紹介しております。
日常で使われていた食器、特別な時に使った食器、テーブルウェアの背景を知りながら、お茶の時間を楽しむ上質なひとときに思いをはせる。キャビネットやカップボードに飾って空間に彩りをあたえる、コレクターズアイテムとしておススメです。
スージー・クーパーの魅力
英国の女性デザイナー、スージー・クーパーは20世紀を代表する陶器デザイナーといわれています。
1920年代から1980年代までの長い間活躍したスージー・クーパーは、英国の家庭で広く使われていただけでなく、英国王室にも愛されたデザイナーです。日本では1990年代初めに出版された「スージー・クーパーのある暮らし」という本で広く知られるようになり、高い人気を得ています。
後ほどご紹介する「ドレスデンスプレー」シリーズはエドワード8世がシンプソン夫人へのプレゼントとして愛用していたり、エリザベス王妃が愛用していたことで1979年に大英帝国勲章を授与されたりと、国中で愛されているエピソードが数多くあります。
デザイナーとして独立して活動していた時期もありますが、陶器メーカーとして有名なA・E・グレイ社やウェッジウッド社で様々なデザインを生み出しました。
作り出された数々のデザインの根底には、花柄のソフトな色使い、シンプルなシルエット、気取らない素朴なモチーフといった、普遍的な自然の魅力が表現されています。本国英国だけでなく日本でも非常に人気が高いスージー・クーパーですが、変わらない自然の美を表現している点などが、日本特有の美の価値観と似通っているからでしょうか。
当時としては珍しく、女性デザイナーとして会社を興した彼女は、優れたデザイン以外にも先駆的な点が多くみられます。スージー・クーパーの陶器の裏側、高台の中心にはロゴマークのようなデザイナーマークが刻印されています。作られた年代によってデザイナーマークも変化しており、コレクションの際の目印として有名です。デザイナーマークの刻印は当時としては先駆的で、デザイナーとしてのアピールに繋がり、イギリス中でスージー・クーパーの名前が広がったといわれています。
それまでの陶器デザインは、曲線を描いた縁、装飾が施された持ち手といったつくり込まれた美が特徴でした。現代デザインにも通じるシンプルさが特徴のスージー・クーパーには、余白を活かした描き込みや使いやすいシルエットが多くみられます。1900年代の新たな価値を生みだした陶器デザインを、人気のシリーズとしてご紹介していきます。
英国王室が愛した「ドレスデンスプレー」シリーズ
先ほどご紹介した、英国王室のエドワード8世がプレゼントで用いていたドレスデンスプレーシリーズをご紹介します。1930年代に製作され、スージー・クーパーの故郷の野花をモチーフとしてデザインされた人気のシリーズです。
バラや百合といった、それまでよく用いられていたモチーフと比べると、親しみやすい野花がモチーフとなっています。全体に野花が散りばめられたデザインは、甘くなりすぎない色使いを意識しており、とても柔らかい印象を受けます。整然と並びすぎずナチュラルな配置も、スージー・クーパーらしいといえますね。親近感の沸く花々や、自然体のデザインは、階級や環境が異なる様々な人々に人気を得ました。
ドレスデンスプレーシリーズが生まれた1930年代は産業革命の影響で、一般市民の生活環境も向上しました。当時は特権階級の象徴でもあった重厚で華美なデザインよりも、このような親しみやすいデザインが選ばれたのでしょう。またスージークーパー本人は、新たな技法を導入したり優れたデザイナーというだけでなく、商品として日常使いに堪えられないような鑑賞だけのクオリティーに対してはすぐに対応し、芸術博覧会でメダルを取ったものでも製造をやめてしまうというビジネス・ウーマンでもあったようです。このような時代の流れをつかんだデザインやクオリティーが20世紀を代表する女性デザイナーとしての人気を確立したといえますね。
スーププレート中央に描かれた野花は、スージー・クーパーの故郷でもあるスタッフォードシャーで咲いているものです。4種類の草花が淡く優しいタッチで描かれていて、花に対する愛情が伝わってきますよね。女性らしい柔らかな色使いも魅力的。普段使いがイメージできるような親しみやすさを感じさせてくれます。
ご紹介しているドレスデンスプレーのスーププレートは、貫入(かんにゅう:窯の温度調節が難しい陶器にみられる現象。意図的に貫入を入れて作られる陶器もあります。表面をコーティングしている釉薬に亀裂が入っているだけで、本体の陶器には損傷はありません。)がみられますが、ヒビや欠けがないキレイな状態です。
【Susie Cooper スージークーパー /Dresden Spray ドレスデンスプレー 】スーププレートはこちら。裏面には、1932年 から 1964年に使われていた “鹿” モチーフのバックスタンプ(裏印)が見受けられます。※当店のアンティーク食器およびキッチン雑貨は、現地では食器として日常的に使われていたものですが、日本の食品衛生法に基づき「非食器…
バラをエレガントに描いた「パトリシアローズ」シリーズ
こちらも1930年代に生み出された、パトリシアローズシリーズをご紹介します。スージークーパーのデザインの中でも非常に人気の高いシリーズです。中央に描かれたバラは、当時の著名な園芸家が生んだサーモンピンクのバラ「パトリシアローズ」をモチーフとしています。
ドレスデンスプレーの野花とは対照的なエレガントなモチーフではありますが、ソフトでスモーキーな色使いが親しみやすさを感じさせるシリーズです。こちらのシリーズは様々なカラーバリエーションでつくられており、縁取りがピンクのバリエーションは最も人気が高いといわれています。
こちらはパトリシアローズのティーカップです。中央のバラは、筆先を生かした情緒ある味わい深いタッチで描かれています。大きな図柄を大胆に配置しており、内側は余白を活かすように何も描かれていません。バラだけがシンプルに描かれた構図は、メリハリの効いた先駆的なデザインだといわれています。可憐さと大胆さが両立した優れたデザインは、現代の価値観においても人気が高い理由となっています。
プレートの縁から中央に連なる繊細なぼかしによって色付けられたグラデーション、柔らかく優しいサーモンピンクが美しい色合いです。パトリシアローズに限らず、スージー・クーパーの魅力でもある淡い色使いのグラデーションは、是非とも手に取って確かめていただきたいです。
【Susie Cooper スージークーパー /Patricia Rose パトリシアローズ】スーププレート(ピンク)はこちら。時代や年代を越えて人気のスージークーパー『パトリシアローズ』シリーズ。こちらは、淡いピンクのグラデーションにローズ柄のスーププレートです。裏面には「リービングディア」と呼ばれる 1932年 から 1964年の “バックスタンプ”(裏印)が見…
【Susie Cooper スージークーパー /Patricia Rose パトリシアローズ】シリアルボウル(ピンク)/Bはこちら。時代や年代を越えて人気のスージークーパー『パトリシアローズ』シリーズ。こちらは、淡いピンクのグラデーションにローズ柄のシリアルボウルです。裏面には「リービングディア」と呼ばれる 1932年 から 1964年の “バックスタンプ”(裏印)が見…
【Susie Cooper スージークーパー /Patricia Rose パトリシアローズ】ティーカップ&ソーサー(ピンク)はこちら。時代や年代を越えて人気のスージークーパー『パトリシアローズ』シリーズ。こちらは、淡いピンクのグラデーションにローズ柄のカップ&ソーサーです。裏面には 1932年 から 1964年に使われていた “バックスタンプ”(裏印)が見受けられます。※…
【Susie Cooper スージークーパー /Patricia Rose パトリシアローズ】グレービーボート(ピンク)はこちら。時代や年代を越えて人気のスージークーパー『パトリシアローズ』シリーズ。こちらは、淡いピンクのグラデーションにローズ柄のグレービーボードです。※当店のアンティーク食器およびキッチン雑貨は、現地では食器として日常的に使われていたものですが、日本…
パトリシアローズシリーズにはブルーのバリエーションもあり、ピンクとは違った爽やかな印象を届けてくれます。サーモンピンクのバラとブルーのコントラストが美しく、アンティークキャビネットにディスプレイしてアクセントとなってくれそうです。ピンクとブルーを揃えて、コーディネートに変化をつけるのも楽しそうですね。
【Susie Cooper スージークーパー /Patricia Rose パトリシアローズ】ナッピー (グリーン) 14cm /Bはこちら。時代や年代を越えて人気のスージークーパー『パトリシアローズ』シリーズ。こちらは、クールなパステルグリーンのグラデーションに淡いピンクローズの柄のナッピー皿です。裏面には「リービングディア」と呼ばれる 1932年 から 1964年の “バック…
【Susie Cooper スージークーパー /Patricia Rose パトリシアローズ】ティーカップ&ソーサー(グリーン)/Bはこちら。時代や年代を越えて人気のスージークーパー『パトリシアローズ』シリーズ。こちらは、クールなパステルグリーンのグラデーションに淡いピンクローズの柄のカップ&ソーサーです。裏面には 1932年 から 1964年に使われていた “バックスタンプ”(…
アールデコ調の「エレガンス」シリーズ
これまでの自然の美を表現したシリーズとは対照的な、幾何学模様が美しいエレガンスシリーズをご紹介します。1939年につくられたシリーズで、当時流行していたアールデコの影響を強く受けたデザインが施されています。全体に幾何学模様が描かれていますが、使われているのは模様とグラデーションの2色だけというシンプルなデザインが魅力的です。2色に限定されることで、モチーフが大きく描かれていながら、絶妙な空間を感じさせる美しさがあります。
乳白色に黒とピンクで着色されたデザインは、柔らかさと上品さを感じさせる大人の女性のようなイメージを受けます。「洗練された」「上品な」「規則正しい」といった意味を持つエレガンスの名前の通り、上質なアンティーク家具とのコーディネートに活躍してくれるシリーズですね。
【Susie Cooper スージークーパー /Elegance エレガンス】 1932年〜1964年作 ココセットはこちら。1枚目はセットの画像です。2枚目から9枚目がポット、10枚目から20枚目が(A)セット、21枚目から30枚目が(B)セット、31枚目から42枚目が(C)セット、43枚目から51枚目が(D)セット、52枚目から62枚目が(E)セット、63枚目…
アンティーク陶器のお手入れについて
アンティーク陶器の分かりにくさの一つとして、お手入れ方法があるかと思います。魅力的なデザインの陶器だったとしても、手に入れた後に気がかりな事があるのは避けたいですよね。陶器によって気を付けなければいけないポイントは色々ありますが、一般的なお手入れ方法をご紹介いたします。
- 重ねて収納するのは避けてください。
- 埃避けのためにできればキャビネットなどに保管してください。
- 洗うときは、桶やシンクにタオルを敷くとキズがつきにくくなります。
- 洗剤は中性洗剤を使ってください。アンティーク陶器は酸性に弱いのが一般的です。
- 破損の原因となる電子レンジ、食洗器は避けてください。
陶器に限らず、アンティークやヴィンテージのアイテムを扱う際の注意点と似た内容となっています。歴史の中で大事にされてきたアンティーク陶器を、これからもずっと大事に使っていただけるように、お手入れ方法にも気を配りたいものです。時代や国を超えてきたアンティークは、様々な人や環境で時間を過ごしてきています。せっかくなら、美しい姿でいられるように、愛情を込めてお手入れしていただければと思います。
当店のアンティーク陶器について
今回ご紹介した英国アンティーク陶器の人気アイテム、スージー・クーパーのデザインはいかがだったでしょうか。シンプルでありながら、自然の普遍的な美が表現されたデザインは、日本でも高い人気の魅力が備わっています。この機会に、アンティーク陶器の世界を楽しんでみてはいかがですか。
スージー・クーパーをはじめ、生活を彩るアンティークのテーブルウェアを数多くご紹介しております。
日常で使われていた食器、特別な時に使った食器、テーブルウェアの背景を知りながら、お茶の時間を楽しむ上質なひとときに思いをはせる。
キャビネットやカップボードに飾って空間に彩りをあたえる、コレクターズアイテムとしておススメです。
当店のアンティーク食器およびキッチン雑貨は、現地では食器として日常的に使われていたものですが、日本の食品衛生法に基づき「非食器類」とさせていただいております。予めご了承の上、ご注文ください。