照明とは、皆さんご存じの通り、空間を明るくし暮らしを便利にするものです。
お部屋を明るくするだけならLED一体型のシーリングライトがお手頃な価格ですぐ手に入りますが、今の時代は私たちの生活を豊かにするため、リラックスする空間をつくるためのものに変化しています。
THE GLOBE・OLD FRIEND オンラインショップ ではアンティークやヴィンテージの家具に合わせる様々な照明もご紹介しています。お店には部屋の明るくする以上の役割を期待して、照明を探しにきてくださるお客様も多くいらっしゃいます。最高にリラックスした空間で仕事の疲れを癒したい。明るすぎる照明は苦手だけどどうしたらいいだろう。
そんなご相談をお受けすることも照明の役割が変化しているからなのかと思います。こだわりの照明を使っているお客様のお部屋の写真を見せていただくと、部屋ごとに照明を使い分けていたり、雰囲気に合わせたシェードをセレクトしていたりと、そのこだわりが垣間見れます。
飛騨のガラス工芸作家、安土草多(あづち そうた)さんがつくるガラスシェードをご紹介しています。一目見て印象に残る繊細に波打つ表面の紋様は、吹きガラスだからこそ生まれる表情です。
照明選び、どうしたらいいんだろう?
とはいえ、シェードのデザインや電球の輝度だけを追い求めても、理想のコーディネートにはたどり着けなそうだし、自分の部屋にマッチした照明を選ぶには敷居を高く感じている方も多いのではないでしょうか。
OLD FRIEND の店舗で数多くの照明を取り扱っている私も、実際は同じような感覚で過ごしていました。つい最近までは大手有名メーカーLED一体型シーリングライトを使っていて、明るくてお手頃な価格だし、色々考えて準備するのも大変だなと考えて、取り敢えず付けた照明が結局そのままになっていました。
お気に入りの照明で演出した自宅でリラックスできれば、今よりも魅力的な生活を送れるのかなとは思いながら、照明の明りという直接カタチにならないものに難しさを感じていたのだと思います。
魅力的な造形のアンティークシェードや、色温度の低いヴィンテージテイストの電球はそれぞれに魅力を感じるのですが、それらを組み合わせて部屋に取り付けるとなるとどうしても腰が重くなっていました。
運命の出会い、安土 草太さんのガラスシェード
照明についてそんなことを考えていた私に運命の出会いがありました。その照明は、岐阜県飛騨高山地方の吹きガラス作家 安土 草多(あづち そうた)さんが作ったランプシェード。OLD FRIEND 店舗でも取り扱っている、とても人気の高い照明アイテムです。
一度、安土さんの工房にお邪魔したことがあります。飛騨の山々の合間に佇むように建てられた一軒家で、もくもくと製作されている姿が印象的でした。
吹いてカタチを整えていくことで少しずつ出来上がっていく吹きガラス製のランプシェードは、大量生産の対局にあるような優しい丸み、厚さの違いが特徴です。
手仕事だからこそ生まれる有機的な表情のガラスは、光の屈折を複雑で繊細なものにして明りを優しいものにしてくれていました。
安土さんの工房で拝見した作品は、電球色の明りが仄暗い空間を優しく、凛と照らしていました。谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」の美意識はこういうことなのかなって思ってしまうぐらい、印象的な空間が作られていたのを覚えています。
あるのは床や柱、建物以外にインテリアの無い空間に照明のみ。安土さんの照明はその無機質でありつつも温もりのある空間に絶妙に馴染み、その魅力的な存在感は印象的でした。ミニマムな空間で人に何かを感じさせてくれる、そんな照明は今まで出会ったことがありませんでした。
「均一なものは工場で作れるから自分にしかできないガラスを追い求めたらこのカタチになった。毎日やり方を変えながら、新しいガラスを作っていきたい」。
安土さんがそう語るように、同じ工程を経たガラスだったとしても違った明りを放っていました。一人一人の好みや思い出が違って求める明りが違うから、どこかの誰かにぴったりと寄り添う優しさを持ったガラスなのかなと感じたことを覚えています。
魅力的な照明空間を私の部屋にも!
お店にディスプレイされた安土さんのガラスシェードは、工房で感じたのと同様に、独特の明りを放って周りの商品や空間を優しく照らしていました。アンティークのガラスケースや可愛らしい洋服を優しく照らし、私にとってとても印象的だったのを覚えています。
安土さんの作る心地よいゆらぎをもった光が、新たな照明の存在意義を感じさせてくれたんでしょう。明りという直接カタチになっていないからと難しく感じていた部分を、魅力として捉えさせてくれたのが安土さんの照明でした。こんな運命の出会いから、私が実際に照明を使ったこだわりの空間を完成させたイロイロをお伝えしていこうと思います。
照明選びのステップを踏んでいって
安土さんの照明を取り入れた理想の空間を作りたい。想いは固まったとはいえ照明選びはきちんと順序を踏まえていくことが成功への近道。はやる気持ちを抑えて丁寧に順序を踏まえて照明選びを進めていきました。
照明選びで大事なのが「お部屋のTPOに合わせる」「天井高に合わせる」「広さに合わせた照明の数」をきちんと決めていくこと。魅力的な照明空間を作っている方は、このような情報を丁寧に整理して間違えのない照明を選んでいます。
とは言ったものの、素敵な照明と出会ってしまうと全ての部屋につけたくなってしまうのが人情ですよね。リビングもダイニングも全部素敵にしたいけど大変!そんな照明選びあるあるに陥っていました。どうしようか迷っているところに照明選びに詳しいスタッフから「こだわって購入した照明の最初のオススメは玄関だよ」といったありがたいアドバイスが。ありがとうKさん!
詳しく聞いていくと、玄関は全員が通る場所で、その家の「顔」とも言える空間だということ。「顔」の空間を変えれば全体の印象も変化し、家で過ごす時間が変わってくるとので、玄関の照明を変えるのはとても効果的だというのです。人を迎える玄関は電球色のホッとする優しい明かりが合う場合が多いというアドバイスを受けました。「お部屋のTPOに合わせる」という点からも、電球色が映える安土さんのシェードはマッチするはず。お客様をお迎えするときや靴を履くときに圧迫感が少なくなるように照明を選ぶのが成功するポイントだよと教えてくれました。
安土さんのような比較的小ぶりなシェードは圧迫感が少なく、出入りが多い玄関にはピッタリだと感じました。これは成功するね!という予感をヒシヒシと感じたのを覚えています。
結局、アレコレしている時間が一番楽しい
取り付け場所が決まったので、さっそく「天井の高さ合わせる」ために天井高を調べることにしました。私の家の玄関は、日本の住宅の平均的天井高でもある2m40㎝。私や家族の身長を考えると、照明器具が目に入って圧迫感を感じさせないためには2m20㎝ぐらいに下げるのがベストだと分かりました。コードの長さは40㎝ぐらいあれば大丈夫と分かって、理想の照明空間に近づいているのを感じてなんだかとっても充実したのを覚えています。
単に天井の高さを図っただけなので不思議なのですが、これも自分で選ぶからこそ得られる喜びなのかと妙に納得しました。
多少脱線してしまいますが、大量消費されているアイテムではなく、こだわって作られた何かを選ぶとき、往々にしてこのような感覚を覚えるのは私だけではないはずです。
いつだったか、丁寧に作られたモノを自分の生活に取り入れるとき、受け取り手も自然と丁寧に準備する意識が働くからだと聞いたことがあります。長い時間を大事に受け継がれてきたアンティークやヴィンテージの家具、作家さんの丁寧な仕事で作られたアイテムには、デザインや性能が優れていたりすること以外にも、目に見えない秘めた力があるのだと改めて実感しました。安土さんのシェードはまさしく丁寧につくられたものですしね。きっと間違いないはず!
魅力的な照明空間作りに話を戻すと、次のステップは「広さに合わせた照明の数」を決めること。私の家の玄関はマンションの平均的広さなのでそこまで広くなく、シーリングが一つ設置されている状態です。個人的に、安土さんのシェードをせっかく使うのなら、多少仄暗さが残る空間に仕上げたいと最初の頃から自分なりのイメージを持っていました。自ずと、取り付けられる照明は一つということになるので、数多くあるシェードの中から何を選ぼうか、楽しくも難しい選択を迫られることになりました。
安土さん、素敵なガラスシェードをありがとう
たくさん安土さんのガラスシェード、私が購入したのはコチラ。
丸とも四角ともとれない不思議なカタチのコチラ。シェード全体に波紋が広がるようにできた凹凸が、明りの流れを波のように広げてくれる個性的で演出効果抜群のガラスシェードです。独特な凸凹が優しいゆらぎを作ってくれ、私を優しく包んでくれたらと思いコチラに決定しました。
【安土草多】角球(シェード単品)はこちら。 安土さんが作るガラスシェードは、バランスの取れたシルエットと捉えどころのないな儚さが同居した独特の魅力を持っています。 現代作家が生み出す複雑な灯は、手仕事で丁寧に作られたアンティーク家具と相性が良くお互いを引き立たせてくれま…
灯具や電球を決めていくのも楽しい!
ガラスシェードが決まったので、あとは電球と灯具を選んでいきます。天井高と照明の位置を考えると20㎝程長さをコードで吊るせれば大丈夫だということも分かっていたので40㎝の一番短いものを選びました。
E17布コードペンダント灯具 /40cm/50cm/70cm/1m/1.5m/2m/2.5m/3m/3.5m/4m/4.5m/5mはこちら。英国製真鍮金具の美しいフォルムに、日本製のソケット・プラグ等の電気部品を使用した THE GLOBE・OLD FRIEND オリジナルのペンダントコードです。真鍮無垢のソケットは経年変化により徐々に落ち着いたくすみへと風合いが増してゆきます…
せっかくお気に入りのシェードを使うので、ちょっと贅沢にシーリングカバー付きのものをチョイス。シーリングのプラスチック部分を綺麗に隠してくれるんです。コードの長さを調節する場合もシーリングカバーに納めれば綺麗に仕上がりますしね!
シェードと灯具を取り付ける為にギャラリーも購入しました。真鍮の抑え目な輝きが、繊細なガラスシェードと相性良く組み合わさってくれています。パーツ一つずつが私の気持ちをどんどん盛り上げてくれます。
電球は、口金サイズがE17の電球色を選ぶことにしました。明るさをどのぐらいにしようか決めかねていた時、またまたKさんのアドバイスが!
「安土さんのような明りに揺らぎが生まれるシェードの場合は、25Wぐらいまでの明るさを選んだ方が独特の明りを楽しめる」ということらしいのです。今回は、ホッとできる優しい明りの玄関をつくりたいと思っているので、25W相当の明るさの「デコフィラメント 赤系電球色」の電球を選びました。私の家の玄関がどんな空間になるのか楽しみが加速していきます!一つ一つのアイテムを揃えていくことは、考え始める前は手間だなと躊躇していた部分だったのですが、実は一番楽しんでいる時間でもあるんですよね。
コード長さや電球のW数を丁寧に考えていくことで、今までとはちょっと違った空間を生んでくれるんだろうなとワクワクが止まりません。
さっそく取付!
シェードやコード、電球といった全てのアイテムが揃って早速取付を開始しました。ギャラリーを灯具に取り付けて電球とシェードを組み合わせて、ここでは胸のドキドキが止まりませんでした。
安土さんの工房で見させていただいた作品のように、揺らぎのある優しい明りがともってくれるのかなと楽しみでもあり不安でもありました。丁寧につくられた良いモノに触れているこういった時間、楽しんでるって感じでいいですよね!
照明を取り付けて、いよいよ安土さんの明りとご対面です。
電球に明りが付いた途端に、壁にあたる複雑な光の影が印象に残っています。白い壁にあたる、何とも言えない優しい明るさと、その明りが作る柔らかい影。イメージしていた照明空間とピッタリでした。ちょっと抑え気味の明るさが、家族や友人を優しく迎えてくれるような空間になりました。
仕事から疲れて帰ってきたときに、安土さんのシェードからこぼれる電球色にホッとする想像でニヤニヤが止まりません。今までは、敷居が高いと思って手が付けられていなかったこだわりの照明選びは、部屋の大きさや使い方を整理しながら選んでいくと、思ったほど難しいものではありませんでした。玄関の照明を変えたことでの良い意味での変化も大きいので、インテリアに何かしらの変化をお考えの方にとってもオススメです。
こだわった部屋や家具を選んだはずなのに、適当に選んだ照明を合わせるとイメージしていた空間にならない、という方は多いのではないでしょうか。その理由は、暮らし始めてからの部屋の使い方と、照明がマッチしていないからなのかと思います。少しの手間と、お気に入りの照明を見つけることで、自分の部屋が違って見えるはずです。家族やお客様、ただ通りすぎだけの空間にならない、ホッとさせてくれる玄関を照明で作ることができたお話でした。
今回は、私自身の照明選びについてご紹介しました。文章の中でご紹介した照明選びのステップをおさらいして、ちょっと敷居が高いと思っている方が照明と近くなる機会になればと思います。
1.「お部屋のTPOに合わせる」
私自身は玄関の照明を選びましたが、照明はお家の様々な場所に必要なもの。お部屋の用途によってオススメのシェード、灯具、電球は変わってきますよ。ホッと安らぎたい空間にするのであれば電球色を。勉強をしたり、着替えたりとハッキリとした明りが必要であれば昼白色をオススメします。
リビングやダイニングといったお部屋の名称は同じでも、人によって使い方は様々です。そのお部屋でどのように過ごすことが多いかを想像して、ご自分なりのTPOに合わせてみるのが理想のイメージに近い照明選びになるのではないでしょうか。
2.「天井高に合わせる」
日本のお部屋の平均的天井高は2m40㎝。ダイニングルームやリビングルームであれば座った時に明りに包まれるように1m90㎝ぐらいに位置するようにすると良いでしょう。玄関やトイレのような、比較的狭い空間であれば、視界に入るか入らないかの高さに照明器具が位置するように設置するのがオススメです。どちらにしても、そのお部屋で過ごす姿勢に合わせて照明の位置を決めていくのが成功へのポイントですよ。
3.「広さに合わせた照明の数」
今回ご紹介した玄関ではペンダントライトを一つ設置しましたが、足元を照らすフロアランプを10W程度の熱くならない明るさで設置してもいいのかもしれません。
リビングのように広めの空間では、人の寄る場所に合わせて複数の照明を使ってみてはいかがでしょうか。部屋の中心のペンダントライトに加えて、ブラケットやフロアランプを組み合わせて演出してみてください。明りの用途が広がり、大型シーリングライトの照明空間とは違った印象を手に入れられるのではないでしょうか。
まとめ 今回ご紹介したアイテムはこちらから
安土さんが作る素晴らしいガラスシェードと出会って、こだわりの照明空間を作った際に感じたことをまとめました。玄関の照明を変えることで、暮らしに豊かな変化を加えることができました。もし部屋の印象が思い描いていたものと違うと感じた場合は、ぜひ照明の取り換えを考えてみてはいかがでしょうか。
飛騨のガラス工芸作家、安土草多(あづち そうた)さんがつくるガラスシェードをご紹介しています。一目見て印象に残る繊細に波打つ表面の紋様は、吹きガラスだからこそ生まれる表情です。
安土さんの照明と相性のよい真鍮製の照明用アイテムもオススメです。
英国製の真鍮金具に日本製のソケット・プラグ等の電気部品を使用した THE GLOBE オリジナルのペンダントコードシリーズです。組合わせることで様々なガラスシェードを取り付けられる別売りパーツも各種ご用意しており、お好みのテイストのペンダント照明としてお使いいただけます。