今回は、アンティークらしいゴージャスな装飾が特徴のアームチェアのリメイクについてご紹介します。
繊細なデザインのファブリックと全体に施された重厚な彫刻が特徴のロココ様式のアームチェア。とても魅力的なアンティーク家具ですが、現代家具に比べると色使いの重さや装飾のバランスが取れず、一般的な住宅にコーディネートするのはちょっと難しく感じます。ファブリックの色使いやゴールドの塗装が、シンプルな現代家具とはミスマッチしてしまうのが原因です。今回のリメイクでは、現代風にリメイクすることで、一般住宅にも取り入れやすいアンティーク家具として生まれ変わる様子をご紹介します。
リメイクされたアンティーク家具で、現行新品の家具とのミックスコーディネートや、アンティーク家具の新しい可能性を知っていただければと思います。
家具職人がリメイクしたアンティーク家具をご紹介しています。職人の手仕事でリペアを兼ねたリメイク家具ですのでご使用上の心配はございません。アンティーク家具をモダンな材質、色彩でリメイクしておりますので、普段使いから店舗ディスプレイにもオススメです。
リメイクでこんなに変わるんです
リメイクの Before After


アームチェアのリメイク前と後を比べると、同じアンティーク家具とは思えないほど全体が変わっています。塗装や生地を張り替えて全体をブラックで統一しており、煌びやかな色使いで重厚な印象がシンプルでモダンなものに変わりました。
シルエットが浮き立つリメイク後のアームチェアは、シンプルなつくりが多い現代家具とも合わせやすいデザインにリメイクされています。コーディネートのベースカラーになりやすいベージュや白の空間に、アクセントとして組み入れ活躍してくれそうです!丁寧につくられたアンティーク家具だからこそ、シルエットや装飾が際立ち、さまざまな家具と合わせられようにリメイクできるんです。
リメイク前に全体をチェック!
背もたれ部分の装飾も、汚れやカスレが多く塗装も剥がれてしまっています。せっかくのロココ様式も残念な状態になってしまっていますね。この部分はリペアも兼ねた剥離と塗装でガラッと印象を変えてしまいます。
後ろ脚が曲がってしまっています。こちらの部分も解体と組みなおしをして修理していきます。現代風な印象にするだけでなく、リペアも兼ねて安全で使いやすくするのも当社のリメイクの特徴です。
繊細に織り込まれた座面の生地も、長年の使用のためか汚れてしまっています。生地の張替えだけでなく、座り心地がよくなるように調整します。リメイクでは塗装や建付けも調整しながら、見た目だけでなく使い心地をよくしていくことが大切です。色やカタチだけを変えても、使いにくいアンティーク家具ではお客様にご紹介できませんからね!
リメイク前にリペアもしちゃいます!
ここからはリメイクの様子を通して、当社のリメイク商品がどのようにつくられているのかをご紹介します。アンティーク家具のリペアも行っている当社の工房は、優れた木工技術を備えており、リメイク商品の品質に自信を持っています。アンティーク家具のリメイク商品は珍しいと思います。クオリティに不安を感じる方も多いかもしれませんが、リメイクされていく過程を知っていただき、安心してお買い求めいただければと思います。
リメイクのスタートはクリーニングも兼ねたリペア
今回のアンティークリメイクは、生地の張り直しや塗装をおこなうため、リペアの工程と同じように全体のクリーニングからスタートします。彫刻が施された木部全体を塗装しなおしますので、丁寧に汚れを落としてキレイに塗料がのるようにしておきます。
折れた脚は修復して元通りに
折れてしまっていた脚を、クランプを使って角度を調整しながら荷重が均等に分散されるように元の状態に戻していきます。この工程もアンティークの椅子を修理する場合と同様の作業です。リメイクといっても、リペア特有の木工技術がないと、ミックスコーディネートが可能な新しいスタイル家具は生み出せないんです。
生地を剥がしてリメイクの準備完了!
汚れてしまっている生地はすべて張り替えるので躯体にキズがつかないように丁寧に剥がします。座面のクッションはアンティークらしく藁を盛ってありましたが、ウレタンを使った新しいクッションにつくりなおします。新しい価値がプラスされ家具をつくるのがリメイク商品のコンセプトですが、使いごこちのよい家具であることが最低条件になります。
リメイクの工程をご紹介
リペアとリメイクの境界線は、作業が重複することから曖昧な部分もありますが、新しい印象を生み出すための工程を “リメイク” としてご紹介します。既存の色使いをガラッと変化させる塗装や、現代家具と同じように座りやすさを求めた座面への張りなおしで、アンティーク家具の新しい一面を引き出します。
塗装作業からリメイク、スタート!
最初の Befor After 画像でおわかりのように、今回のリメイクでは全体をブラックで統一します。木の装飾部分はマットブラックの水性塗料で塗装しました。マットブラックで塗装された彫刻は、光をあてると明るい部分と影の部分がハッキリと、装飾の造形が陰影で際立つ効果があります。こちらのアームチェアはロココ調の “彫り” が特徴的でしたが、リメイクでマットブラックに塗装して、特徴をより強調させました。
クッションの入れ替えで座りごこちを進化
こちらは既存の生地を剥がして下地の麻生地が露出された状態です。アンティークの座面の下地には丈夫な麻が使われていることが多く、この状態で麻やバネの状態をチェックします。今回のアームチェアはベルトの張り具合やバネの状態がよかったため、このままの状態で藁の代わりにスポンジを敷くこととなりました。リペアでは表面の生地のみを取り換える場合もありますが、今回のリメイクでは新品のような座り心地になるように、スポンジで新調します。
こちらは背もたれのスポンジを張りなおしているところです。麻生地の上からスポンジを重ねて、心地よい厚みをつくりました。座面についても、歪にならないようにスポンジの形を整えながら座り心地がよくなるように作業しました。いくら恰好いい椅子になったとしても、気持ちよく座れなければ正しいリメイクとはいえませんからね!
ブラックの生地でモダンな印象に
スポンジを固定したあとに、ブラックの金巾(目の細かい薄地の生地)を張ります。金巾を張ることで、上張りの生地からスポンジが透けて見えてしまわないようにしています。ブラックの生地からスポンジの白が透けて見えてしまっては残念な印象になってしまいますから。金巾もブラックで統一、モダンブラックなアームチェア完成まであと一息です!
家具の印象を決める上張りの布には、塗装と同じようなマットな印象になるようにブラックのキャンバスを選びました。粗目の目地がロココ調の彫刻と意外と相性よく合わさりました。従来のリペアであれば、起毛しているアンティークらしい生地を選ぶのですが、現代家具によく使われるキャンバスで、モダンな印象と座り心地を両立させました。
生地を張り終えたら、全体のラインをキレイに整えるようにブレード(装飾のあるテープ状の紐)を固定します。細かな作業ではありますが、ブレードを張ることでアンティーク家具らしい仕上りになります。こちらももちろんブラックで統一して、素材ごとの色味が美しくなるようにしています。
肘置きの部分もブラックで統一しています。キャンバス生地の素材感と彫刻部分がなんとも言えない絶妙なバランスを生み出しています。可愛らしいホールドもいい味を出していて、アンティークにモダンな印象を付け加えるという、今回のリメイクの狙いが凝縮されている部分かと思います。
タッチアップでリメイク完成です
最終工程のタッチアップ(補正処理の塗装)をおこなってリメイク完成です!こちらもリペアと同じ工程ですが、リメイクの最終工程として大事な作業です。ブラックでリメイクされて従来のアンティーク家具とは全く違った印象を受けますが、通常リペアと同様に長く使っていただけるような仕上げを徹底しています。
リメイクで現代風アームチェアに仕上がりました
リメイク完了後のアームチェアをディスプレイした様子です。ブラックに統一され、モダンな印象を受けるアンティーク家具となりました。アクセントとして、さまざまな家具とのミックスコーディネートが楽しめる仕上がりかと思います。
マットブラックへのリメイクは、家具が持つシルエットや装飾をより際立たせます。アンティークらしい脚の曲線や、下寄りの安定した重心、細かな手仕事を感じる装飾など、リメイク前では気づきにくかった特徴を感じ取ることができます。
当社のリメイクでは、アンティークのよさを残しながら、現代の住宅環境にも取り入れやすい価値を生み出すことを大事にしています。取り入れやすい色使いや座り心地のよいクッション、見た目だけでなく機能面でも生活に取り入れやすい仕上がりになりました。
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今回ご紹介しているアイテム以外にも、これからどんどんNEWアイテムをご紹介してきますので楽しみにしてくださいね!
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