今回は、アンティーク家具リペア職人が語ると題して、当社のリペア工房の職人さん5人に伺ったお話の記事です。
日々、素敵なアンティーク家具に触れている職人さんだからこその、魅力やリペアのアレコレを思う存分語ってくれています。
アンティーク家具への思い入れや、好きな家具といったお話は、職人さんごとの違いが楽しくて、
アンティークのある暮らしが今までよりももっと楽しくなる内容になっています!是非、ご覧ください。
アンティーク家具のリペアの内容については、こちらでご覧いただけます。
自社の家具職人がリペアを担当しております。チェアの座面が破れてしまったり、キズがついてしまったりと、アンティーク家具・ヴィンテージ家具の様々なリペアに対応いたしております。お見積りは無料ですので、お気軽にご相談ください。
「好き」から始まったアンティーク家具のリペア職人
元々、作ることが好きで家具製作の勉強をしていました。
ひょんなことから、アンティーク家具のリペアの仕事が入り、それ以来はまって、いつのまにかリペア職人になっていました。
はまった理由は、アンティーク特有の繊細な彫刻や特殊な作りに強い興味を持ったことでしょうか。
学校では基本的な家具についての知識や技術を学びましたが、アンティーク家具のリペアでは基本的なものだけで解決するケースばかりではありませんでした。
組み方や塗装方法を読み取りながら、100年以上前の家具職人が工夫を凝らして作った家具を、1つ1つ読み解いてリペアしていく。
先人の想いを感じ取る為に、勉強と工夫の毎日ですが、いつの間にかどっぷりとリペアの世界にはまっていました。
当時行きつけのカフェの内装がアンティークでコーディネートされていたことで、興味を持ちました。
とくにリペア職人を希望していたというよりは、古いもの好きの延長でアンティーク家具に携わる仕事に就いています。
古いものにだけ生まれる、独特の存在感と佇まい、同じものが手に入りにくいという点に惹かれるんですよね。
え!これ直せるの!と思われたかったからです。(笑)
作られてから時間がたっている家具のパーツが無くなってしまっている場合、パーツを模写して作成することがあります。
木材を削り、彫刻を施したパーツを復元してお客様に見ていただくと、無かったパーツが戻っていることに驚かれます。
木材だからできるリペアですが、時間を取り戻すようなリペアはやりがいを感じます。
美術大学に在籍中、就職活動の際に、デザイナーや作家は何か違うなぁと感じていて、そんな時にアンティークのリペアをされているの方の話を聞く機会があり、興味を持ちました。
現代では使われていない技法や木材に触れる機会が多くなり、とても貴重な仕事だと感じたからです。
元々、アンティークだけでなく、木工の仕事に興味がありました。
木材は同じ木の種類だとしても1つ1つの状態が違い、その時によって性質を読み取って扱わなければいけません。
難しくもありますが、扱い方を工夫する部分に木工の魅力を感じています。
リペア職人だからこそ知る、アンティーク家具の魅力
メンテナンスを続けることで、世代を越えて長く使い続けられることでしょうか。
アンティーク家具は、接合部分を使いやすい状態にする建付けの調整や、塗装をしなおすことで100年以上も使い続けられます。
使っていた人の歴史を感じ取れる家具をさらに受け継いでいく、アンティークのある暮らしはとても豊かなものだと感じています。
自分が生まれるずっと前から使われていたものと触れ合うことができるからですね。
新しいものを生み出すことも魅力的ですが、今あるものを生活に活かすことに、より魅力を感じます。
アンティーク家具の特徴として挙げられる、贅沢な木材や彫刻という部分も魅力的ですが、ずっと前から使われていたことで生まれる佇まいが好きです。
使われることで角が丸まっていたり、塗装が落ち着いた色合いに変化していたりと、古いものにこそ宿る魅力を大事にしたいと考えています。
経年変化、年月を経ることによっての家具の変化に魅力を感じます。
作られた当時はピカピカに輝いていた真鍮製の金具も、時が経つと酸化してくすんでいきます。
くすんだ金具の表情は、新しいものにはない落ち着いた魅力を放ってくれます。
経年変化した家具は、コーディネートした時にも自然と馴染んでくれるので、使い勝手もいいんです。
経てきた時間と彫刻などの技術に魅力を感じます。
彫刻作品でなくても、長年の技術の粋がつまった彫刻がアンティーク家具には施されています。
1つ1つが手仕事で彫られていることを思うと、どれだけの情熱やアイデアが詰め込まれているんだろうと感じます。
リペアする家具の彫刻をお手本にして、自分自身も技術を磨いていきたいと思っています。
日本の家具にはない装飾や彫刻に魅力を感じます。
アンティークには、浮き彫り(無垢の木を彫りこんでつくる装飾)や透かし彫り(向こう側が透けて見えるように彫られた装飾)といった、芸術品とも思えるような装飾があります。日常的に使う家具が芸術品のように上質な装飾があることに、ヨーロッパの歴史と伝統を感じます。
リペアで大変だったもの、上手くできたもの
木の座面全体が割れてしまっているベントウッドチェアのリペアが一番大変でした。
本来は木の座面を交換するところでしたが、お客様の思い入れのある椅子とのことで修理しました。
割れてしまった部分をなだらかにし、座面表面の割れ目を目立たないように調整しながら組みなおすのに苦労しました。
料金はかかってしまいますが、思い入れのある家具を部材を残したままにリペアするのはアンティーク家具の本来の姿なのかもしれません。
今ある形に手を加えながら受け継いでいく、目には見えないかもしれませんが大事なものを残すこともアンティーク家具が存在する意味だと感じています。
短い納期のリペアを受けたことがあります。
夕方に来店され、翌日の朝に必要とのことで、一晩でリペアをしたんです。
クリーニングから建付け調整、塗装といったリペアの全行程が必要な家具でした。
1回目の塗装が乾いたらすぐに2回目といったように、必死で時間と格闘したのを覚えています。
大型のブックケースの彫刻された装飾を製作したことです。
装飾の一部分が欠けてしまっており、1から製作する必要がありました。
細かな装飾でしたので大変でしたが、残っている部分を模写して、部材を削り出して作成する過程で多くの学びがありました。
当時の家具職人が工夫して形にした装飾と同じものを作るために、道具の動かし方や木材の動かし方といった細かな技術を感じ取ることができました。
細かな傷や塗装剥がれをリペアする場合は、筆で塗料を塗って目立たなくさせます。
こういったリペアをタッチアップといいますが、細かな傷を目立たなくする為には、塗料の色を合わせる必要があります。
作られた当時の塗料や、作られてからの時間を分析して、他の部分と違和感がないように仕上げるのに苦労しています。
苦労する分、キレイにタッチアップできるとお客様も喜んでくださるので、やりがいを感じています。
虫食いがあるアンティーク家具のリペアは大変です。
虫食いの穴から木粉が出ている場合は、虫食いが進行中の状態なのでしっかりと殺虫処理をしなければいけません。
塗装や木材に悪影響が出ないように殺虫処理し、塗装やワックスで仕上げることで安全に使っていただける家具にリペアできます。
細かな部分のリペアではありますが、安全に使っていただくために入念にリペアすることを心がけています。
アンティーク家具リペアの注意点
お客様が気になっている部分を注文以上の入念なリペアをするように気を付けています。
リペアをしてでも使い続けたい家具ということは、その方の大事な家具ですので、予想以上の仕上りでお返ししたいと考えています。
今後も大事に使っていただけることが、アンティーク家具が今後も長く残ることに繋がると思っています。
アンティーク家具が語りかけてくると言うと言い過ぎかもしれませんが、きちんと細部まで状態を確認したときに色々感じることを大切にしています。
使いやすさは人によって異なりますので、お客様がどう使っていたのかを細かな部分を確認することで読み取っています。
テーブルの天板の塗装が部分的に剥がれているようであれば、その部分の塗装を厚めにする。
引出しの周りに引っ掛かりでできた傷があるようであれば、引出しを分解して調整するといったように、使われ方の癖を読み取ることで、より使いやすい状態になるように気を付けています。
リペアするアンティーク家具がより魅力的になるように心がけています。
お客様の好みにもよりますが、アンティーク家具の魅力でもある艶出しに気を付けることで、リペア前よりも魅力的になることがあります。
塗装前に家具の表面を研磨しますが、研磨の度合で塗装後の艶が変わります。
輝くような艶がお好みの方には、塗装やワックス仕上げだけに気を付けるのではなく、艶めいたリペア後の姿をイメージして入念に研磨します。
手間はかかりますが、より魅力のある家具は、これからも大事に使っていただけますからね。
アンティーク感を残すことを注意してリペアしています。
アンティーク家具は、現代家具のように一番キレイな状態が正解なワケではなく、家具によって表情が異なります。
安全に使えない状態だけをリペアして、趣きのある傷や塗装のムラを敢えて残す場合があります。
趣きのある部分を無くしてしまうことで、アンティーク家具の表情が変わってしまい、それまであった魅力を減らしてしまうからです。
リペアの加減が難しいですが、アンティーク家具にしかない魅力として、丁寧に対応したいと考えています。
当たり前のことですが、お客様のご希望に沿った商品に仕上げることです。
ご満足いただくためには、折れてしまった脚や割れてしまった鏡といったように、一見してわかる部分のリペアだけでなく、使いやすい状態にリペアすることが必要です。
引出しの引っ掛かりや、扉の開け閉め1つでも違和感があれば、使いやすい状態とは言えないので
リペアする家具を細部まで確認することで、お客様以上にその家具を熟知し、よりご満足いただけるように心がけています。
リペア職人が好きな、こだわりのアンティーク家具
ギミックが凝っているアンティーク家具が好きです。
大きなボックス状の家具ですが、一見すると何に使うのかわからないですよね。
ただの木の塊のように見えますが、真ん中に付いている扉を開くと洗面台と蛇口が出てきます。
一見して分からないような部分が動いたり、変形したりするギミックのあるアンティーク家具は色々あるんですよ。
当時は水道管と接続されていて、手洗い等に使っていたんでしょうか。
衛生面から、清潔に保ちたい洗面台と蛇口を隠しているんですね。
ギミックのある家具は、生活上の問題を解決する為に作られていることが多くあり、そんな部分に魅力を感じます。
ベントウッドチェアなどの曲げ木を取り入れたアンティーク家具が好きです。
曲げに強い木の特性を活かして、曲げた木材を使うことで強度を持たせた椅子のことをベントウッドチェアといいます。
ベントウッドチェアにしかないデザインや、少ない部材で作られることで生まれる軽さといった機能性の高さがあります。
デザイン性と機能性の高さが共存した、普遍的な美しさを感じます。
アンティークの椅子全般に魅力を感じます。
椅子は背もたれの角度や、四本の脚で身体を安定して受け止めるバランスといった、リペアする際に繊細な調整が必要な家具なので、接合部分の調整を少し間違えるだけで、途端に座りにくい椅子になってしまいます。
繊細な調整が必要なのは、それだけ計算された上でのバランスの良さが備わっているとも言えます。
計算された美しいバランスは、よく見るととても美しいシルエットを作っているんです。
贅沢な装飾が施されたアームチェアが大好きです。
背もたれや肘掛、座るだけでなく芸術品として置いておきたくなる魅力があります。
このアームチェアは所々に透かし彫りが施されいて、調度品にも負けない美しさがあります。
硬い木で作られているので、もちろん安全上にも問題ありません。
家具職人が技術の粋を表現できる木を求めて、工夫した結果だと思うと、より魅力的に感じてしまいます。
ロッキング式のアームチェアに魅力を感じます。
大きな背もたれと広がった脚まわりが可愛らしいシルエットを作っていて、ゆったりとした時間を過ごすのにピッタリの家具だからです。
深く座ってゆっくりと揺れながら読書すると、いつの間にか眠ってしまう程気持ちよく座れますしね。
脚まわりが広いので広いスペースにポツンと置くことが多くなりますが、置いたときの空間性もゆったりしたものになるのも魅力的なポイントだと思います。
職人さんにお話を聞いて
普段リペアに携わっている、自社工房の職人さん5人にお話しをうかがった今回の記事、いかがだったでしょうか。
毎日、アンティーク家具に触れている職人さんだからこそ知っている、魅力や特徴、リペアの裏話といった、アンティーク家具への愛情溢れる内容になっていたかと思います。
魅力的なアンティーク家具、好きなアンティーク家具で多く挙げられていたのが椅子類だったのも興味深いですよね。
それだけ、計算された美しさを持っているという事なんでしょうか。
当オンラインショップでも数多くのアンティークチェアをご紹介しております。是非ご覧ください。
遠目で見ても美しく存在感のある椅子、意匠が私をくすぐるたまらない椅子、サイズ感がぴったりな椅子…。
アンティークチェアは何世紀にも渡って改良され、時代や地域を反映したデザインとなっています。人生の 3 分の 1 は座っていると言われています。
だからこそこだわって選びたい。「理想的な椅子」が必ず見つかるかもしれません。
この他にも、家具ごとのリペアを詳しくご紹介している記事や、ご依頼いただけるリペアをご説明したページをご用意しておりますので、是非ご覧ください。
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