映画や雑誌で見る「白い猫脚の家具やカーテンレース」や「ホワイトペイントが施されたゴージャスなミラー」、「キラキラ輝くシャンデリア」、その世界観に憧れを抱くかたも少なくないですよね。
今回は女子のココロをわしづかみにする、フェミニンな雰囲気のフレンチなアンティーク家具や照明を使って、“シャビーシック” なお部屋をコーディネイトしてみました。
“シャビーシック” なコーディネイトのポイントは、白をベースにした家具に、ガラス、レース、アイアン素材の小物、ベージュやピンク、グレーイッシュの差し色を加え、でも甘くなりすぎないようにすること。
ここでは、“シャビーシック” な空間によく似合うアンティーク家具や照明など、厳選したアイテムをご紹介します。エレガントで遊びゴコロのある女性にぴったりなアイテムをひとつひとつ組み合わせて “シャビーシック” なコーディネイトを実現してみましょう。
そもそもシャビーシックって何だろう。
“シャビー sabby” の語源は「ちょっと汚れた、薄汚い(!)」など、素敵なイメージとは違い本来はあまりいい意味ではなかったようです。しかし、その反対の意味を持った “シック chic”「上品な、粋な」という単語と組み合わせ、『古めかしいけど粋で上品』といった価値観が生まれます。ガチガチに決めすぎない、どこかゆるくて優しい感じがそういった語源のもとになったのでしょう。
はじまりはイギリス、ペンキが剥がれ使い込まれた家具や古く色褪せたエレガントで優しい風合いのファブリックなどに、芸術的な価値が見い出されました。1980年代には、アメリカ西海岸のコテージで感度の高いセレブリティを中心に愛好され、現在においても人気の高いスタイルです。
今ではあまり珍しくなくなったダメージ加工されたフレンチシャンデリアも、流行の元をたどればフレンチシャビ―な生活様式に合わせた「上品な」照明から来てるのかもしれません。アメリカ西海岸で育った “シャビーシック”。フランスのシャトーやロココ調の装飾など古めかしいものや伝統に憧れつつ、ミックススタイルの自由な雰囲気を感じさせます。古いものが新しい、そんな美的感覚でしょうか。
シャビーシックなライフスタイルを演出
≪アンティーク フレンチワードローブ≫
まずは象徴的な壁面に置かれた大ぶりなワードローブ。前面に全身大の大型ミラーがつき、収納力も抜群で乙女心をくすぐります。オーガニック素材の、白やオフホワイトの優しいドレスやインテリアファブリックがぎっしり詰まった画(え)を想像してしまいます。大きな鏡越しに窓の外にある木立や草花を眺めて見るもよし、自然を身近に感じさせる “シャビーシック” のエッセンスが大いに感じられますよね。
こちらは、昔観た映画の…、『マリー・アントワネット』の時代、まさにフランスはルイ15,16世時代のスタイルのギャードゥローブです。上部にはロカイユ装飾が施され見ため麗しいデザインが特徴的。ロカイユ装飾とは貝殻や植物をモチーフとした装飾スタイルのこと。そうです、アームチェアの背もたれやフレンチなアンティークキャビネットのてっぺんにくっついてるクネクネした謎の模様のことです。由緒正しいデザインなんですよね。もちろんひとつひとつ手彫りなのでホント、贅沢です。こんなワードローブが家にあったら気分は上がっちゃいますよね。
淡い色使いの ≪アンティーク ティーテーブルセット≫
次に、ティータイムの中心、テーブルとチェアの組み合わせをご紹介します。ちょっとひと息をつきたいアフタヌーンティーや女子会を楽しみたい時の “シャビーシック” です。
“シャビーシック” なコーディネイトでは “自分らしさ” も重要なファクターです。自分の琴線に触れたテーブルを、自分の琴線に触れたチェアを、別々に買い揃えるのもアンティークならではの醍醐味です。
お部屋の中心に【シャビーシックな アンティーク エクステンションテーブル】
天板を開き、間に別の板を挟み込んで広いテーブルへと変身するこのエクステンションテーブル、ティーテーブルとしてもダイニングテーブルとしても最適です。華奢な脚に掘られた美しい彫刻も素敵ですが、このテーブルの特徴は何といっても天板にあり。パっと見、天板が大理石のように見えますが実は木に大理石風なペイントが施されています。これはフランスのヴェルサイユ宮殿でも用いられているデコラティブペイントという技法で、とてもまれなテクスチャーです。
オフホワイトを基調としたカラーリングはシャビーシックそのもの。大理石調のグレーやベージュは落ち着いた大人な雰囲気を醸し出しています。今でこそネットで調べて色々なやり方を学べますが、当時は塗料も限られてますし大変な作業だったのではと思いを馳せます。石である大理石に比べ軽く、平坦なテーブルトップがにぎやかになり一石二鳥。職人技あればこそ、なんですが、とてもまれなテーブルです。
サロン感満載【シャビーシックな アンティーク フレンチサロンチェア】
こちらも “シャビーシック” らしく白で統一、アンティーク感のある華奢で可愛らしいラウンドバックのサロンチェア、フランスはルイ16世スタイルのものになります。座面や背もたれの張生地は淡いグレイッシュの花柄ストライプ。
座面や背もたれの縁をブレード(主に布製の縁飾り)ではなく手間のかかる “鋲” でしっかり止められています。鋲と一口に言っても現在は連結鋲(連続で繋がって釘を途中でつけるタイプ)という便利なものが存在しますが、一本一本丁寧に打ち込まれています。こだわりが感じられる逸品です。
ナチュラル感と上品さのミックス【シャビーシックな アンティーク アームチェア】
こちらは推定1880年代、ビーチ材を使ったロココスタイルのアームチェアです。ビーチ材はきめ細かくしなやかさが特徴の木材です。座面と背もたれにはナチュラルな籐(ラタン)を使って籠目編みで編みあげられています。上品ですが素朴な、自然な感じが伝わってきますよね。
シャビーに塗装が剥がれた感じと上品なフォルムが相まって、まさに “シャビーシック” な逸品です。上のサロンチェアと違って気取らずにカジュアルにひと息つけるチェアです。雑誌や本を開いてお茶が飲みたくなります。
白基調に、ガラスビーズを散りばめた ≪シャンデリア≫
家具がシャビーシックで統一できても、照明がちぐはぐだともったいない!白をベースにした、できればクリスタルが散りばめられたフレンチシャンデリアを合わせたいものです。照明までこだわるとシャビーシックな空間に説得力がつきます。シャビーシックな空間を仕上げる必須アイテムです。
こちらはアンティークではなくフランスメーカーの現行品です。シャビーシックを意識したデザインです。ベースが木(もく)なので見た目のボリュームほど重さはありません。驚くほどシャビーシック感、でてますよね。真鍮も金ピカではなく、どこか落ち着いた色味がうれしい。
シャンデリアがお目見えした当時はむろん電気などなく、すべて蝋燭の光で明かりをとっていました。宮廷や貴族のお屋敷などは、何十、何百のロウソクの火を灯さなくてはいけないので大変な作業でした。
今やシャンデリア球を使い、ロウソクに見立ててロウ管と言われるものを下に付けています。蛇足になりますが、中にはロウが熱で垂れているように作られた手の込んだものもあります。
シャビーシックの脇役 ≪サイドファニチャー≫
“シャビーシック” が好きなかたがまず導入しやすいのが、サイドファニチャーかもしれません。ひとつの家具から始まる “シャビーシック“ ライフスタイル。小さなコワンでご自身を表現して豊かな生活を実践しましょう。
カジュアル感もある【シャビーシックな アンティーク サロンチェア】
こちらのアンティークチェアは、ピンクのストライプの座面が目を引くサロンチェア。木部は今どきのインテリアにも合わせやすい “シャビーシック” な淡いグレーのペイントが施されています。ピンクのストライプはシャビーシックな空間にカジュアル感をちょい足ししてくれます。
背もたれ上部の “リボンモチーフ“ も前出の “ロカイユ” と並んで女子が好きなモチーフのひとつです。可愛らしく、小さくてキュートな椅子なので、サイドチェアとしてカバンを置いたり座らずに飾って眺めていたくなるかもしれません。
シャビー感のある【シャビーシックな アームチェア】
ベルギーからやってきた1940年代製のアームチェアです。ベルギーとフランスって、お隣り同士だし、フランス語が公用語なのでなんとなく似てるんですね。家具の雰囲気も。
こちらは菱形に配置されたローズガーラントに花籠と、淡いピンクの帯でストライプに仕切られた張り生地は、まさに “シャビーシック” な感じ。だいぶくたびれてますが、今こんなデザインの生地を探そうと思ってもなかなかお目にかかれません。
アンティーク家具の張地に使われている布地って実は結構貴重。なるべくそのまま使ってあげたいものです。座面をクリーニングしてブレードをキレイなものに張り替えて…。オフホワイトの木部のフレームも花模様の彫が入って全体の曲線がとても美しい椅子です。
白にペイントされた【シャビーシックな アンティーク ゲートレッグテーブル】
オフホワイト、すこしニュアンスのある色に仕上げてあるシンプルなゲートレッグテーブルです。その名の通り、脚がゲート(門)のようになっていて、普段はたたんでしまって使い、作業する時やお客様がいらしたときに広げて使います。なかなか使える家具です。
天板を広げ、畳まれた脚をグーッと出すと台座になって天板が支えられるという仕組み。“シャビーシック” のセカンダリーな家具として重宝間違いなしです。
空間をにぎやかにするシャビーシックの ≪アンティーク小物≫
蚤の市で見つけたお気に入りの “シャビーシック” なアンティーク雑貨をお部屋に飾るとなおいっそう “シャビーシック” 感がお部屋を充満させます。本物のアンティークでなくても、衝動買いして家に連れてきてしまった “アンティーク調“ の雑貨たちもお役に立ちますよ!
ガーリーテイスト【シャビーシックな テーブルシャンデリア】
先にご紹介したシャンデリアと同様に燭台(今でいうキャンドルスタンド、ですね)を模して作られた照明です。クルッと曲がったメタルベースにクリアとパープルのガラスの組み合わせがシックな感じで、ガーリーテイストでココロ踊ります。暗くなったお部屋にそっと灯してみればさらに雰囲気アップ。ガラスが持つキラキラな輝き、華やかさとゴージャス感は電気的な照明となっても変わらないですよね。
こちらのテーブルシャンデリアの電材部品は、アンティークのもつ雰囲気を崩さないように、弊社指定工場にてすべて交換しております。アンティークとはゆえ安心して使っていただけます。
ロココ調【シャビーシックな フォトフレーム】
シャビーシックな小物として重宝するのがフォトフレーム。ロココ調のフォトフレームをそっとサイドボードやサイドテーブルの上に置いておくだけでもシャビーシックな空気感が生まれます。
まとめ
いかがでしたか?今回はフレンチアンティーク家具をメインとした “シャビーシック” のコーディネートで、シャビーシックなアイテムをご紹介しましたが、もちろん今使われている家具と合わせて自分流の “シャビーシック” をまず探してみるのもいいと思います。何かお気に入りのアンティークを一つ、今のお部屋に合わせてみて少しずつ買い揃えるのもとても楽しいですよ。初めは私もその一人で、しっかり今はアンティーク沼?にはまってしまいましたが…(笑)。ご自身の素敵なインテリアコーディネートの参考になればと思います。